海外でのビジネス展開を考えるにあたって、事業の「顔」とも言えるウェブサイトを現地語に翻訳することは、必須と言っても過言ではありません。
しかし外国語への翻訳、特にウェブサイトの翻訳は一筋縄ではいかない作業です。
直訳・機械翻訳では対応しきれないニュアンスや、日本との商習慣の違いなどによって誤解を与えてしまい、思うような結果が出ないどころか悪印象を与えてしまうケースも少なくありません。
そこで本記事では、ウェブサイト翻訳の際に注意すべき点を言語ごとにご紹介。結果につながるサイト翻訳のコツについて、詳しく解説しましょう。
※多言語サイトの具体的な作り方については、こちらの記事をご覧ください。
この記事の目次
ウェブサイトを「英語」に翻訳する基本と注意点
初めに、ウェブサイトを英語に翻訳する際の基本や注意点についてご紹介します。
ウェブサイトを英語翻訳する注意点
まず注意すべきは、英語は世界中の多様な国で使用されている、という点です。
アメリカやイギリス、オーストラリアやニュージーランドといった英語を母国語として持つ国だけでなく、シンガポールやインドのように複数の公用語の一つとして英語を扱う国も少なくありません。
また、第二言語としても最も一般的な言語であり、英語のサイトには世界中の多種多様なバックグラウンドを持つユーザーからアクセスが集まることを想定する必要もあります。
こういった性質を持つ英語のサイト翻訳では、アメリカ英語・イギリス英語と言った最も基本的なスタイルの英語を使用し、なるべく簡潔な文章になるよう翻訳を行うことが必要です。
またアメリカ英語・イギリス英語は同じ単語でも微妙にスペリングが異なる単語も多いです。例えば「守る」という意味の英語はアメリカでは「Defense」ですが、イギリスでは「Defence」となります。複数地域の英語が混在せず統一されるよう調整しましょう。
さらに、特定のターゲット国がある場合、翻訳に現地の商習慣や文化的背景を反映することも重要な要素と言えます。
英語へのウェブサイト翻訳は自動翻訳で対応できる?
そもそも日本語と英語は言語の系統が大きく離れていることもあり、表現や文章の構成が大きく異なります。そのため、自動翻訳や機械翻訳、例えAIを用いた翻訳ツールを利用したとしても、通常は十分な精度のある文章にはなりません。
英語ネイティブから見て違和感のない文章を作るためには、プロによる調整が重要です。例えば日本語では「主語」が省略されがちですが、英語では常に「I」「He」「She」といった主語を明確にする必要があります。
また、日本語では一文にまとめた方が読みやすい文章が、英語では意図的に複数に分割したほうが読みやすくなるケースもあり、逆も然りです。
こういった要素を加味すると、正確性が重視されるウェブサイトの翻訳において自動翻訳の利用はお勧めできません。
ウェブサイトを「中国語」に翻訳する基本と注意点
続いては、ウェブサイトを中国語に翻訳する注意点をご紹介します。
ウェブサイトを中国語翻訳する注意点
中国語は、中国や台湾、シンガポールなどの国で公用語とされており、第二・第三言語の話者数が多い英語とは異なり母語話者数が非常に多いのが特徴の言語です。
ただし、英語と同様に中国語も使用されるエリアによって大きく異なります。中国本土では「簡体字」と呼ばれる中国語が圧倒的に主流ですが、マカオ・香港といった本土の一部の地域や台湾では「繁体字」と呼ばれる中国語が使われています。
簡体字と繁体字は使用する文字・発音も大きく異なるため、中国語翻訳の際は対象となるエリアを必ず指定し、使い分ける必要があるのです。
また、エリアによっては文化的背景も異なります。例えば中国一般と、イギリス統治の名残がある香港とでは、現地人がインターネットから取得できる情報や個人の思想においても非常に大きな違いがあるのです。
更に、中国語圏の商習慣が日本と大きく異なる点にも留意が必要です。日本の近隣国であり文化的に類似点も多いですが、独特な商習慣を持っている点には注意しましょう。
例えば中国本土では「価格の安さ」を重視する傾向があり、人前での面子(メンツ)や、关系(グワンシー)と呼ばれるコネクションを極めて重視します。
中国語へのウェブサイト翻訳は自動翻訳で対応できる?
日本語でも使用する漢字で構成された言語であることからもわかるように、中国語は日本語と近い系統にある言語です。
ただし、やはり自動翻訳では補えない部分があります。
特に企業名や商品名など「固有名詞」の中国語翻訳の際は注意が必要です。中国語で固有名詞を表現する際には、基本的に発音に合わせて漢字の当て字を行うケースが一般的。同じ音を持つ漢字は非常に多いですが、その中から貴社のブランディングに適した漢字を選択しなければなりません。
この作業を自動翻訳で行うのは極めて難しく、場合によっては気づかないうちに悪印象を抱かれる漢字を当ててしまっているケースもあります。文化への深い理解を持った、プロの翻訳者に依頼する必要性が大きい事例と言えるでしょう。
また、ウェブサイトは翻訳して終わりではありません。貴社の企業名やサービスを広く認知させるブランディングまで見越した施策が必要となります。
この点中国語圏では、百度(バイドゥ)と呼ばれる中国本土向けの検索エンジンに適したSEO対策が必要です。百度の検索アルゴリズムはGoogleのそれとは全く別物であり、規制対象となるコンテンツも多いため、適切な対策を行うには一般的なSEOとは全く異なるスキルを持った人材が欠かせません。
ウェブサイトを「スペイン語・ポルトガル語」に翻訳する基本と注意点
続いて、ウェブサイトをスペイン語・ポルトガル語に翻訳する際の注意点について解説しましょう。スペイン語とポルトガル語は言語の系統が酷似しているため、本章でまとめてご紹介します。
ウェブサイトスペイン語などに翻訳する注意点
スペイン語・ポルトガル語に翻訳する際の注意点は、やはり地域差が激しい事でしょう。例えばスペイン語はスペインだけでなく中南米の多くの国で使用されています。
加えて、中南米各国でも表現が完全に統一されているわけではありません。例えば「車」という単語はメキシコでは「carro」ですが、チリでは「auto」です。
ポルトガル語も同様で、ポルトガルとブラジルでは細かい部分に違いがあり、片方のエリアにはない単語がもう片方には存在する、といった事例も少なくありません。
そのため、対象とするエリアを特定しなければ、複数タイプのスペイン語が混在する奇妙な文章になります。また、期待するマーケティング効果が得られないといった事態も起きえます。
当然ながらヨーロッパと中南米では文化的・社会的背景も全く異なりますので、そういった点からも、対象エリアの特定がいかに重要かお分かり頂けるでしょう。
スペイン語などへの翻訳は自動翻訳で対応できる?
英語と同様に日本語とは言語系統が大きく離れていることもあり、スペイン語・ポルトガル語のウェブサイト翻訳を自動翻訳で行うには限界があります。
例えばポルトガル語には、120を超える代名詞があります。これは代名詞が性別・数によって異なる表現を用いることが主な理由で、ポルトガル語ほど多くの代名詞を使用しない日本語から翻訳する際は、代名詞が正しく使用されていることを逐一確認しなければなりません。
また、スペイン語やポルトガル語、しかもその特定の地域でしか使用しない慣用句などもあるため、自動翻訳で対象のユーザーがスムーズに読める文章を生成するのは困難です。
また現地でのサービス展開を見越したウェブサイトであれば、マーケティング・ブランディングを前提に翻訳を行う必要があります。
ウェブサイトを「ベトナム語」に翻訳する基本と注意点
最後に、進出先として2022年〜2023年初時点ではトレンドともいえるベトナム語に翻訳する際の注意点について解説します。
ウェブサイトをベトナム語に翻訳する注意点
2022年には8%を超えるGDPの成長を記録し、急速な発展に伴って中間所得層も増加し続けているベトナムは、海外展開を行う国として注目を集めています。ただしベトナムにおいて英語話者は多くなく、参入にあたってはベトナム語のウェブサイトが必須です。
ウェブサイトをベトナム語に翻訳する際の注意点として、まず「時制に厳しくない」という点が挙げられるでしょう。過去・現在・未来を表現する時制に厳しくないため、文脈で判断できるような文章にする工夫が必要です。
また、敬称の使い方が大きく異なる点にも留意しましょう。ベトナム語では、自分自身や身内を紹介する際にも敬称を付けて呼ぶのが一般的です。これは相手との「力関係」を重視する文化的背景が関係しており、相手より年上である・立場が上である場合には自身や身内にも敬称を使用します。
ベトナム語への翻訳は自動翻訳で対応できる?
ベトナム語は、主にアルファベットと6つの声調を組み合わせた文字を使用します。日本語と同じく中国の漢字文化に由来する言語であり、言語の系統としてはそれなりに日本語に近いと言えるでしょう。
しかしながら、ベトナム語と日本語にはいくつか決定的な違いがあります。例えば「人称代名詞」の使い方です。
ベトナム語では、会話する相手の性別や職業、年齢や立場によって人称代名詞を調整して細かく使い分けています。つまり、自分と相手の関係性によって、自分を表す代名詞と相手を表す代名詞を変化させる必要があるのです。
こういった関係性による人称代名詞の変化を自動翻訳で行うことが難しい事は、想像に難くないでしょう。
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このように、ウェブサイトを日本語から外国語に翻訳する事は、想像以上に難易度の高い作業を伴います。ましてやビジネスシーンで使用するものであり、商品のマーケティングや貴社のブランディングも意識した翻訳を行うとなると、一般的な翻訳企業にすら対応が難しいケースも多々あります。
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