グローバル化が進む中、経営者の皆さんは「自社のウェブサイトは日本語だけで本当に良いのだろうか?」と心配になることがあるかもしれません。
- 海外の企業とも取引をしたい
- 外国のお客様にも自社の商品をアピールしたい
等々、ウェブサイトの多言語化を検討している企業はたくさんあります。
しかし、目的や用途が不明確なまま、勢いだけでウェブサイトの多言語化をするのは賢いことではありません。なぜなら、お金が無駄になってしまうだけでなく、自社のブランド価値を弱めてしまうことになり兼ねないからです。そこでこの記事では、多言語ウェブサイトの5つの種類とその目的について考えましょう。もし、5つの中に自社に当てはまるものがあれば、是非ウェブサイトの多言語化を検討してみてください。
この記事の目次
多言語ウェブサイトとは?
一般的に、多言語ウェブサイトとは複数の言語で閲覧できるようになっているウェブサイトのことを言います。しかし、この説明では、ウェブサイト内の一部が複数言語で表記されているものや、ブラウザの翻訳機能で多言語表示されたものと混同してしまう可能性があります。
そのため、多言語ウェブサイトとは、ターゲット層が理解しやすい言語に翻訳し、その言語で作成されたウェブサイトとするのが正しい説明になります。例えば、日本語で作成したウェブサイトを、台湾のマーケットを対象に中文繁体字に、オーストラリアとニュージーランドのマーケットを対象に英語に翻訳し、それぞれの言語でサイトを公開する場合などがこれに当たります。
しかし、世界には何百もの言語があり、すべての言語に対応したウェブサイトを作ることはできません。また、世界のビジネス共通語が英語だからと言って、全ての人が英語を理解するわけでもありません。そのため、ウェブサイトを作成する目的を明確にし、ターゲット層に合った多言語ウェブサイトを作成することが大切です。
それでは、多言語ウェブサイトの5つの種類とその目的について、それぞれ考えてみましょう。
多言語ウェブサイトの5つの種類とその目的
多言語ウェブサイトには、大きく分けて次の5つの種類があります。
- 企業のグローバルサイト
- 越境ECサイト
- 外国人向け日本観光情報サイト
- 留学生向け日本留学情報サイト
- 外国人投資家向けIRサイト
それぞれのウェブサイトには目的とターゲットとする人の層があります。それでは、一つ一つ見ていきましょう。
企業のグローバルサイト
企業のグローバルサイトとは、企業のコーポレートサイトを多言語化したウェブサイトのことです。企業のグローバルサイトのターゲット層は、主に外国の取引先、もしくは取引先候補の会社や個人です。基本的にBtoB(企業対企業)の取引をする相手ですので、英語で作成するのが一般的です。しかし、英語以外の言語が使用される特定の国がターゲットとなる可能性がある場合は、中国語やスペイン語など、ターゲットに合わせて作成することもあります。
越境ECサイト
越境ECサイトとは、ECサイトの多言語版です。ECサイトとは、オンラインストアと言い換えることもできますので、オンライン上で外国の人にも販売を拡大したいときに作成します。そのため、ターゲット層は個人の消費者、卸売りもしくは小売り業者となります。
ECサイトを日本語だけで作成し、配送先も日本国内だけに限定している場合、外国の人がそれを購入するのは困難です。しかし、ECサイトが多言語化され外国からの購入方法と配送方法が明記されていれば、日本国外の広大なマーケットから注文が来る可能性があります。当然のことながら、越境ECサイトを作るのと同時に、配送手段や決済手段を確保する必要があります。詳しくはこちらの記事で解説していますので、是非お読みください。
越境ECサイトの始め方|事前準備とサイト制作の方法を詳細解説
外国人向け日本観光情報サイト
外国人向け日本観光情報サイトとは、日本を観光する外国人をターゲットに、来店や購入を促すために作成する多言語ウェブサイトのことです。多くの場合、旅館、飲食店や土産物屋が作成します。私たちが外国を旅行するとき、宿泊先のホテルの日本語サイトがあれば、少し安心するのではないでしょうか?空港からのアクセス方法、近隣の観光情報、トラブルが起きた時の連絡先などが日本語で説明されていれば、そのホテルは日本人に人気の宿泊先になるでしょう。
コロナによる規制が緩められ、日本政府は再びインバウンド誘致に力を入れ始めました。世界各国からの何千万人もの観光客が日本に押し寄せるとき、多言語ウェブサイトがある店は勝ち組になる可能性が高いと言えるでしょう。
留学生向け日本留学情報サイト
留学生向け日本留学情報サイトとは、日本に留学しようとしている各国の学生をターゲットに、学校の魅力を伝えたり、出願方法や留学ビザの取得方法を解説したりするウェブサイトのことです。ターゲットは世界各国の学生になりますが、学校によって誘致に力を入れている国は異なるかもしれません。
以前は中国、韓国、台湾の出身者が留学生の大半を占めていましたが、近年は政府の「留学生30万人計画」により留学生の出身国も多様化しました。そのため、学校によってはベトナム語やモンゴル語でウェブサイトを作成することもあります。
外国人投資家向けIRサイト
外国人投資家向けIRサイトとは、投資家向けの自社のIR情報を発信するウェブサイトのことです。ほとんどの場合、英語で作成します。
外国人投資家に自社に興味を持ってもらい、何よりも信頼してもらうことが目的です。そのため、一般的な企業情報や事業内容に加えて、創業者や経営者のプロフィール、ビジョン、経歴等を詳しく掲載する必要があります。また、実績としてアピールできる数字や社内の様子などを掲載することもあります。
多言語サイトを作るための具体的な方法については、こちらの記事に纏められています。
質の良い多言語サイトを作るための4つのコツ
多言語ウェブサイトを制作する場合、以下の4つのコツを意識しておくことは大切です。制作会社に依頼する際にも、この4つのコツを確認すれば、良い制作会社を選ぶことができます。
- 質の高い画像や写真
- 質の高い翻訳
- ネイティブチェック
- サイト以外の準備
それでは、1つずつ見ていきましょう。
その1.質の高い画像や写真
人に何かを伝えるときに、私たちは言葉以外の手段を使うことがあります。会話の中でジェスチャーをしたり表情を変えたりするのがそれにあたります。これを「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」と言います。
これと同じように、ウェブサイトにおいても言語(テキスト)以外で伝わる情報が多くあります。それがウェブサイト内で使われている画像や写真です。質の高い画像や写真で、伝わりやすい多言語ウェブサイトを作成している事例を見てみましょう。群馬県四万温泉の柏屋旅館のウェブサイトです。実際にどのようなものが使われているか、見ていきましょう。
わかりやすいイラスト画像
このイラスト画像を一目見れば、群馬県四万温泉までのアクセスが大体わかります。外国人観光客にとって最も使いやすい直行バスの説明ボタンが一番大きく表示されているのも、よく考えられていますね。
このイラストを一目見れば、タトゥーがあっても温泉を楽しめること、ビーガン(菜食主義者)向けの食事があることやアクセスがしやすいことがわかります。これを文章だけで伝えるのはとても難しいですが、イラスト+文章でわかりやすく伝えられていますね。
魅力的な写真や動画
日本の旅館は、初めて日本に来る旅行者にとっては少し敷居が高いかもしれませんが、こうして「顔」が見える魅力的な写真があると安心するに違いありません。
実際に宿泊した人の「お客様の声」が動画で掲載されています。もしこの「お客様の声」が日本人のものだけだったら、「この旅館は外国人観光客は歓迎されないのでは?」と思ってしまいますね。
この柏屋旅館のウェブサイトは、英語と中国語繁体字(主に台湾で用いられる)だけにしか翻訳されていません。しかし、わかりやすいイラスト、魅力的な写真や動画を使用することによって、世界中から来る観光客に伝わりやすいウェブサイトになっています。柏屋旅館が、世界的な旅行者向けポータルであるトリップアドバイザーから「Best of Best」という高い評価を受けている理由がわかります。
その2.質の高い翻訳
イラストや画像が多くのことを伝えられるとはいえ、ウェブサイトの多言語化で最も重要なのはやはり文章の翻訳です。しかし、多くのウェブサイトでは、「ネイティブではない人による不正確な翻訳」や「翻訳ロボットによる不自然な翻訳」が使用されています。そのような翻訳を使用してしまうと、正確な情報が伝わらないだけでなく、貴社のブランド価値を損ねてしまう危険性があります。
例えば、2020年12月には千葉県浦安市の自治体ホームぺージが、機械翻訳で意味不明な表示になっていることが発覚しました。「医療機関」が「doctor ryou engine」と表示されるなど、たくさんの不正確な表示が散見されたそうです。「ドクターRyouのエンジン」では意味不明ですね。市内に住む外国人の人たちにとっては生活にかかわる大切な情報が伝わらない事態になってしまいます。
Googleなどが提供している機械翻訳は、今後ますます精度が上がっていくことが予想されます。しかし、日本語にはニュアンスが伝わりにくい表現や誤訳されやすい固有名詞がたくさんあります。貴社のブランド価値を高めたいのであれば、ネイティブによる質の高い翻訳が不可欠です。
その3.ネイティブチェック
ネイティブによる確認が必要なのは、文章の翻訳だけではありません。サイト全体のデザインも、ネイティブにチェックしてもらうことには大きな価値があります。なぜでしょうか?
なぜなら、国によって色や表現が連想させるものがそれぞれ異なるからです。例えば、中国では赤色は財運や吉祥を表す「おめでたい色」とされており、ウェブサイトでもたくさん使用されています。一方日本では、赤は血を連想させることから、真っ赤なウェブサイトというのはあまり見ません。どちらかというと、日本人は淡い色を好む傾向にありますね。
こうしたことは、実際にその国の文化に精通した人でなければ分かりません。ですから、ウェブサイト全体が、ターゲットとしている国で自然で受け入れられやすいものかどうか、その国で生まれ育った人にチェックしてもらうことはとても大切です。
その4.ウェブサイト以外の準備
質の良い多言語ウェブサイトを作って集客するためには、ウェブサイト以外の準備も大切です。このウェブサイト以外の準備とは何でしょうか?見ていきましょう。
越境ECを行う際に必要な準備
例えば、貴社で越境ECを始めようとしてECサイトを多言語化したとしましょう。しかし、海外から購入者がサイトを訪問しても、海外からの決済方法や海外への発送方法が準備されていなければ、作成した多言語ECサイトは意味がなくなってしまいます。また、貴社が製造する商品を越境ECサイトで販売する場合、商品の説明書も多言語化する必要があるかもしれません。
もし貴社にこれらのノウハウが無い場合、こうしたことに精通していてアドバイスをくれる会社に、越境ECサイトの制作を依頼するのが良いでしょう。
観光客向け多言語サイトと同時に行うべき準備
例えば、旅館やレストランが多言語ウェブサイトを作成して観光客を誘致したとしましょう。しかし、店内のメニューや表示が多言語化されていなければ、実際に来店した観光客は戸惑ってしまうかもしれません。一方、外国語に堪能なスタッフがいなくても、解り易い多言語メニューや表示が準備されていれば、観光客は快適な時間を過ごすことができ、あなたの店は高い評価を受けられるでしょう。
先程事例として紹介した柏屋旅館には、このような温泉マナーのイラスト付きマニュアルがあります。
温泉の入浴マナーを口頭で伝えるのは、どんなに言語が堪能でも難しいことです。一方、こうしたイラストや注意表示が店内各所に掲示してあれば、個難しい説明をしなくてもお客様に理解してもらうことができます。せっかくウェブサイトを多言語化するのであれば、一緒に店内も多言語化してしまうのが良いでしょう。
まとめ
複数の言語に対応している多言語サイトを制作すれば、外国の人が自社のWebサイトを閲覧しやすくなるため、外国の人に向けたアプローチがしやすくなります。海外へ事業の展開を目指している企業や、外国人観光客を受け入れている企業にはとてもおすすめです。しかし、多言語サイト制作の目的や付随する準備が不十分だと、せっかく制作したサイトが無駄になってしまう可能性もあります。
もし、多言語サイトを制作したい場合には、自社でゼロから作るか、外部へ制作依頼をかけるかの2通りの方法があります。自社で作れるだけの人材のリソースが無い場合には、基本的に外部へ依頼するのが一般的です。そこで、外部へ依頼する方針が決まっている場合には、ぜひPJ-T&C合同会社にお問い合わせください。
PJ-T&Cでは「多言語ウェブサイト制作」だけでなく、メニューや表示の多言語化やこだわりのネイティブチェックを行なっており、ネイティブの翻訳によって正確な情報をWebサイトで伝えることを得意としています。そのため、お客様の情報を限りなく正確に海外ユーザーへ伝えることを実現します。多言語サイトの制作依頼をかける業者を探しているのであれば、是非検討してみてください。
また、PJ-T&Cはウクライナ支援もおこなっています。多言語サイトの制作をPJ-T&Cに依頼していただければ、ウクライナの子どもたちへ支援をすることにも繋がるため、ウクライナ支援に興味がある方もぜひ一度ご相談ください。
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