デジタル資産である仮想通貨を保管する方法は様々ですが、国内ではまだまだ「仮想通貨取引所のアカウントで保管している」という投資家が多くを占めるでしょう。
コインチェックのXEM流出事件や、マウントゴックス事件についての知識はあっても、つい取引に使うアカウントに入れたままにしている方も多いはず。
実際、仮想通貨の保管方法としての選択肢は膨大で、どれが自身にとって最適なのかをリサーチするにはそれなりの労力がかかります。
そこで本記事では、仮想通貨を保管するにあたって特に重要な「セキュリティ強度」と「利便性」を両立させた選択肢であるハードウェアウォレットについて詳しく解説。
日本の仮想通貨投資家の間ではまだまだ普及していませんが、海外では安全かつ便利にデジタル資産を長期保管できる方法として高い支持を得ています。
この記事の目次
なぜ「ハードウェアウォレット」で仮想通貨を保護するのか
初めに、ハードウェアウォレットの基本と、必要とされる理由について詳しく解説しましょう。
取引所アカウントが抱えるセキュリティ課題
まず選択肢の筆頭は、既に利用している仮想通貨取引所のアカウントのセキュリティ強化でしょう。取引所は仮想通貨取引において非常に便利で、特にデイトレードやスイングトレードなど、スパンの短い投資を行う際には重宝します。
しかし「仮想通貨取引所は中央集権的である」と批判されることが多いように、取引所には膨大なユーザーの情報や資産が集中。トランザクションを分散させるP2Pによるブロックチェーン本来の安全性が発揮しにくい点がデメリットです。
総資産の3割程度を、かつ複数の取引所アカウントに分散させて使用する程度であれば問題ありませんが、資産全額を保管する方法として取引所は適していません。
仮想通貨ウォレット5種類を比較
そこで、徐々に国内でも普及し始めている選択肢が「仮想通貨ウォレット」。アプリケーションやデバイスを使って、個人で仮想通貨を保管する方法です。
名称 | 安全性 | 利便性 | 特徴 |
---|---|---|---|
WEBウォレット | 低 | 高 | 常時ネット接続しており便利・サイバー攻撃を受けやすい |
デスクトップウォレット | 中 | 中 | ダウンロードした端末のみで使用可・マルウェア感染による盗難リスク有 |
モバイルウォレット | 中 | 中 | ダウンロードした端末のみで使用可・不具合が起きる場合も |
ハードウェアウォレット | 高 | 中 | 安全性が非常に高い・端末を購入するために初期費用がかかる |
ペーパーウォレット | 高 | 低 | サイバー攻撃に極めて強い・使い勝手が悪く、破損や紛失が起きやすい |
このように仮想通貨ウォレットには多くの種類があり、目的によって選択する必要があります。
利便性を重視するのであれば、基本的にオンラインに接続しており迅速な取引が可能なWEBウォレットが適しているでしょう。しかし、選択肢の中ではサイバー攻撃のリスクがかなり高いため、取引所アカウントと同様に多額の預入や長期保有には向いていません。
安全性を重視するなら、選択肢は「ハードウェアウォレット」もしくは「ペーパーウォレット」。この2種類は「コールドウォレット」とも呼ばれ、オフライン環境で仮想通貨を守れるため安全性が極めて高いことで知られています。
ただし、紙に仮想通貨の秘密鍵などを印刷するペーパーウォレットは、利便性にかなりの難あり。破損や紛失も起きやすく、物理的な面で長期保有にはあまり適していません。
よって、多額の資産や長期保有にあたっての選択肢としては、ハードウェアウォレットが合理的と言えるでしょう。一定の利便性を保ったままサイバー攻撃から資産を守るには、ハードウェアウォレットを利用して厳重に保管することが大切です。
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ハードウェアウォレットの仕組みやタイプ
出典:AuthenTrend
続いては、ハードウェアウォレットの仕組みや、具体的にどういった使い方ができるか等について、少し詳しくご紹介しましょう。
ハードウェアウォレットの仕組み
ハードウェアウォレットのセキュリティが強固な理由はいくつかありますが、まず「物理デバイス」であることは大きな要素の一つ。物理的にデバイスを所持している状態でなければ秘密鍵にアクセスできない状態を作ることによって、遠隔からのハッキング等に対して高度な防御を展開できるのです。
とはいえ、ハードウェアウォレットはスマホ・パソコンに接続して使用するタイプが一般的で、接続の際にはオンライン環境にアクセスしており、接続中はサイバー攻撃のリスクにさらされているように見えるかもしれません。
しかし実際は、インターネット上に秘密鍵が流出しないよう、トランザクション処理を全てハードウェアウォレットの内部で完結させている製品が多く、安全性は保たれています。
ハードウェアウォレットの種類
ハードウェアウォレット世界中で多様な商品が流通しています。
セキュリティ仕様は商品によって大きく異なるほか、形状も「USBドングル型」「スティック型」「カードキー型」など様々で、自身のスタイルに合わせたものを選択可能。防水性能や防塵性能を備えたタイプも存在します。
また、最近のハードウェアウォレットは、資産の保管だけでなくDAppsやDeFiに直接接続し、NFTの売買やトークンの管理が可能なタイプも豊富。購入前にはしっかり吟味し、自身の使用目的に適した性能を持っている種類を選ぶことが大切です。
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ハードウェアウォレットの選び方|高性能なハードウェアウォレット3製品を比較
次に、ハードウェアウォレットの中でも特に性能の高い3製品を比較してご紹介しましょう。実際に商品を選ぶ参考になるはずです。
Trezor(トレザー) Model T
「Trezor Model T」はチェコ拠点の「SatoshiLabs社」が開発するハードウェアウォレット・Trezorシリーズの最新モデル。
洗練されたデザインとセットアップの簡単さ、ハードウェアウォレット内で通貨の交換ができる機能を備えている点が高く評価されています。ハードウェアウォレットとしては珍しく、マイクロSDカードにも対応しており、柔軟なデータ移行を実現。
多要素認証セキュリティキーとしても使用でき、これ1つでオンラインサービスのログイン認証を保護できます。
Ledger(レジャー) Nano X
「Ledger Nano X」は、フランス発「Ledger社」が開発のハードウェアウォレット。Trezorシリーズと並び、世界で多くのシェアを誇ります。
安全性の高さもさることながら、保有できるアルトコインの選択肢が非常に豊富な点が特徴。サポートするトークンの総数は5000を超えており、一般的なハードウェアウォレットとは一線を画しています。
A.T Wallet(エーティーウォレット)
「AT.Wallet」は、IT大国である台湾発のセキュリティ企業「AuthenTrend Technology社」が開発したカードキー型ハードウェアウォレット。
PIN不要・指紋認証で迅速なトランザクションを実現する世界で初めての仮想通貨ウォレットで、2020年の「CESイノベーション・アワード2020」を受賞していることからも、そのイノベーション性が高く評価されていることがわかります。
高いポータブル性、サイバー攻撃に対する最上位のセキュリティ強度、高度な防水性能を兼ね備える唯一無二のユニークな選択肢です。
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ハードウェアウォレットを選ぶにあたっては、資産を守り切るセキュリティ強度はもちろん、自身が保有する通貨の種類に対応しているかどうか、頻繁に利用する分散型サービスに接続できるかといった性能面から選ぶ事も大切です。
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